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【第1話】 リーダーは経営計画書と評価制度で育つ!

  • 竹田 富男
  • 2018年2月27日
  • 読了時間: 6分

更新日:2月1日

社長の収益向上戦略「リーダーズ通信」より

【第1話】 リーダーは、経営計画書と評価制度で育つ

 会社経営にとって「人材育成」は、最重要課題であると危機感を抱えている経営者は多いはずです。マネジメントの神様といわれる、ピーター・ドラッカー氏は「マネジメントの殆どが、あらゆる経営資源の中、人が最も活用されず、その潜在能力も開発されていないことを知っている」という言葉さえ残しています。

 私は約15年以上、収益向上コンサルタントとして、企業の命ともいうべき人材教育・組織開発に関わりながら、そのノウハウについて試行錯誤してきました。その中で確信している事があります。それは「企業の成長が思い通りに実現できない最大の理由は、次のステージを支えるリーダーが育つ仕組みが整っていない」ということです。

 特に育て高めるべき人材は部門や業務を運営するリーダー(管理者層)です。どのような会社でも、リーダーは指示待ちではなく、率先してトップの考え方と会社の目標を理解し、これを実現するために部下を導いていく必要があります。こうした理想のリーダーが育つためになくてはならない仕組みが2つあります。

 それは、「経営計画書」と「人事評価制度」です。この仕組みをしっかり運用して行く事でリーダーが自ら成長し、企業の成長・発展に大きく貢献してくれる人財へと成長を遂げるのです。

●経営計画書で会社の目標と課題を共有 ~リーダーの管理能力を高める~

 まず、「(A)経営計画書」作りです。リーダーが社長の考え方と目標を理解するため、社長は、リーダーと共に経営計画書作りに取り組みます。「経営計画書」には、「理念」「ビジョン」「方針」といった社長の考え方を盛り込みます。

 そして、リーダーが現場で実践するための「戦略」も明確にします。こうすることで社長と考え方を共有しながら、戦略や自らの役割を認識することができます。

 次に、リーダーは「目標」の達成に必要な「戦略」を現場に落し込むために「実行計画(アクションプラン)」の作成に取り組みます「何を」「いつまでに」「誰が」 「どのような手順で」行い、「成果」は何かを明確にします。

 同じく、ピーター・ドラッカーは、著書 『経営者の条件』 の中で、アクションプランの大切さを述べています。「アクションプランが無いと全てが成り行き任せになる」と断言しています。更に、「アクションプランを途中でチェックしないと意味のあるものを見分けることも出来なくなる」とも述べています。

 成り行き任せでも利益が出ていた時代はよかったのですが、環境変化が激しく、企業間競争も熾烈な昨今は、そう言う訳にはいきません。掲げた戦略を実現するためにもアクションプランを作成しましょう。

 更に、リーダーには企業の理念や戦略を実現するための行動や部下の育成について、じっくり考えながら意見を出してもらい、リーダー自身が推進役として、今後どう関わっていくのかを再度計画書に落し込んでいきます。

 次に、これらの計画は策定するだけではなく、会社全体の行事として「発表会」を行います。全社員に発表することで計画の一層の浸透や社員の一体感の醸成につながります。

 私も多くの会社の経営計画発表会に同席しましたが、発表会終了後には社長も幹部も一般社員も皆やる気に満ちた顔をしています。

 そして、自分たちが「組織の一員として支え、そして支えられている」ことを確認し、一層の連帯感が生まれています。経営計画発表会は年に一度、全社員が自社の現状と目指すべき姿を確認し合う絶好の機会であり、会社行事のなかでも最重要と言えるものです。

 その後は「実行計画」にもとづいて現場でPDCA(計画、実行、評価、改善)をまわしていくのが役割になります。PDCAを回すには、定期的に計画の進捗管理を毎月行います。計画の進捗確認は計画通りに活動できているのか、それとも計画と掛け離れているのか確認し、計画や行動に不備があれば修正していきます。

 この会議はリーダーが社長の考え方(方針や戦略)を理解し、現場のスタッフのベクトルをそろえることで、組織全体の目標への推進力を高めることができます。

●人材の成長が計画の推進力を高める ~リーダーの成長が稼ぐ組織をつくる~

 次に、理想の部門リーダーを育てるためには「人事評価制度」が重要です。

「(B)人事評価制度」を通じて部門リーダー・全社員が育つプロセスが以下の五つです。

①部下の仕事ぶりに基づいて評価を行う。

②直属のリーダーと上長で、部下が成長するための目標や課題を共有する。

③「育成面談」で部下に評価結果を伝え、次に取り組む目標を明確にする。

④「チャレンジシート」を活用して目標の達成レベルや実行プロセスを明確にする。

⑤1ヵ月(3ヵ月)毎、面談を通じて目標の進捗を本人とリーダーで確認する。

 これをリーダー自身が回していくことによって、自らも成長することができます。 そして部門リーダーは、この5つのプロセスを回すことで、次の3つのスキルを身に付けることが出来るのです。

 1つ目は「観察スキル」。対象を細かく観察、分析し、事実を明確に把握で出来る力です。部下の仕事ぶりを観察し、評価基準を理解した上で評価点上のプラスマイナスの要素を見極めなくてはなりません。

 2つ目は「判断スキル」。一定の基準で正しい判断と決断が出来る力です。基準に基づいて正しく判断しなければ、部下を納得させる評価を行うことはできません。

 3つ目は「推進スキル」。部下の力量に応じた目標設定と達成へ向けたPDCAを支援できる力です。評価結果にもとづいて、部下の成長に結びつけるために成長目標を明確にし、継続的に支援します。

 この3つのスキルを高めることは、部下の育成だけでなく、顧客交渉やプレゼン等、ビジネスのあらゆる場面でも活用できます。「経営計画書」と結びついた人事評価制度の運用に全リーダーが取り組むことでリーダーが自ら育つ人材育成が可能になるのです。

 逆に会社の理念やビジョン・戦略を理解できていないリーダーがいる部門はどうなるでしょう。 また、目標や方針を掲げているがアクションプランが無い組織はどうなるでしょうか。

メンバー全員が会社の目標とは異なる方向を向いて仕事をしているかもしれません。そうなると部門全体の力が分散するということですから組織にとっては大きな損失となってしまいます。

 会社の理念やビジョンを社員と共有することで理念を実現する人事制度を、私は「経営計画連動型人事評価制度」と名付けています。現在も多くの会社で経営幹部と一緒に「経営計画」と「人事評価制度」のPDCAサイクルの実施を月単位、四半期単位、年単位で行っています。

 すでに経営理念や経営計画書を作成している、人事評価表を作成している企業も多いでしょう。しかし、それを継続的に実践し、成果に結びつけることが出来ている企業はどれほど存在しているでしょうか。

 社員一人ひとりが理念・ビジョンの共有と実践ができれば、取引先や地域から支持される社員を育て、会社のブランド力を向上させることにつながるのです。人材の成長に焦点を当てたリーダー育成の取り組みが会社の価値を高め、地域経済の活性化に貢献することは間違いないでしょう。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

有限会社リーダーズ愛媛 

代表取締役 竹田 富男(たけだ とみお)

HP:https://www.leaders-ehime.com/

Eメール:t2@world.odn.ne.jp

住所:愛媛県松山市清水町4丁目75-1  

TEL:089-922-9423

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