【第2話】 業績の良い会社の特徴
- 竹田 富男
- 2018年2月27日
- 読了時間: 7分
更新日:2月1日
社長の収益向上戦略「リーダーズ通信」より
【第2話】 業績の良い会社の特徴
私は15年以上、収益向上コンサルタントとして、企業の命ともいうべき人材教育・組織開発に関わりながら、そのノウハウについて試行錯誤してきました。その中で社長からの相談で受ける内容に次の二つがあります。「お客様満足度を高めたい」と「従業員の満足度を高めたい」ですが、従業員満足度と会社の業績には相関性があります、従業員満足度が高い会社は、会社の業績も良い、というデータがあります。
これは正確に理解する必要があります、「従業員満足度が高いから、業績が良い」のではありません、「業績が良いから、従業員満足度が高い」のです。
正確には、業績が良い条件を揃えているからこそ、当然業績もよく、従業員満足度も高いのです。
●業績の良い会社の特徴
1.勝てる戦略がある
①ビジネスモデル:自社の得意とするサービスを、喜んで買ってくれる顧客にだけ提供している。だから、価格競争にもならない、そして、顧客に感謝までされる。
②マーケティング:仕組みでターゲットとなる見込客を開拓しているので、営業もスムーズである。
2.仕組化を進めている
①仕事がスムーズ:通常業務では、混乱なく業務をこなせる、生産性が髙い。
②すべてに基準がある:各ポジションや各業務など、すべてに基準があり、何が正しくて何が間違いかが明確である。そして常に確認できるように「見える化」している。
③仕事が見える:その進捗や品質を管理者がチェックできる、チームでお互いにフォローできる。そして、自分たちで、意見を出し合い業務の改善ができる。
④ローテーションできる:将来的には他の業務も経験できるという広がりを期待できる。また、休める&休みを言い出しやすい。
3.経営改善計画書がある
①経営改善計画書があると、自分たちの部門や自分自身が会社にとって、重要である事、そして、これからも更に重要度が高まることを感じられる。
②経営改善計画書があると、この厳しい環境でありながらも、この会社なら大丈夫と思える、より発展も期待できる。安心し働ける道標となる。
4.社長が社長の仕事をしている
①社長は会社の将来を創るために顧客状況や業界動向のチェックし対策を考えている。
②事務所に居るときには、幹部に対して指示事項のチェックと次の依頼を行う。
このように業績が良い会社は、業績を良くするための当たり前のことを日々やっているため良い業績を得ているのです。
●業績が良い会社は、ある意味、厳しい
仕事には求められる役目も基準もあり、その依頼された仕事に対しての期日も明確で、確実に遂行することを求められます。
ダラダラした態度も服装も許されることはありません、各担当もその日の仕事と改善すべき課題も明確で、上司からの具体的なアドバイス(要求)もあります、新入社員やパートに対しても、業務の改善のためのアイディアを求められます、そして、改善の意見をぶつけ合う場を部門やチームメンバーで定期的に設けています。
そういう環境であるからこそ、一人一人の社員は成長することができます、また、その職場での自分の存在意義も感じることができます、いまの生活の安心と将来に希望を持てます、
そして、会社の業績が良くなる予測、その結果自分の給与が良くなる予感を持てます。
日々の業務を、自分は仕事ができるからといって慣れや惰性で処理していれば良し、と思い違いするのではなく、自分の仕事に目標や目的、課題を持ち改善や工夫をする、力を出し切る毎日にこそ、人としての充実の日々があるのです。
業績が良い会社は、この当たり前のことを日々行っているので良い業績を得ているのです。これを従業員満足度が高いから業績が良いと、認識することは大きな間違いであることがわかります。
それに対し、従業員満足度の低い会社、すなわち、業績の悪い会社の特徴を上げます。
1.勝てない戦略
①ビジネスモデル:顧客ターゲットが不明確、売上げのためなら望んでいない顧客も対応する、以前の強みも時代に合わない、市場の変化をキャッチする仕組みもない。そのビジネスモデルは、人間関係や個人スキルと狭く競合も多いため、いつも厳しい状況にさらされている。現状は業績もジリ貧傾向である。
②マーケティング:既存客が減少し、新規客も獲得が厳しいのは、顧客ニーズに合った対策が取られていない。経営は顧客創造であるのに集める仕組みが無い。
2.仕組化を進めていない
①仕事が混乱:通常業務でも混乱、問題も発生。業務が増えるとさらに混乱し、クレームと残業が増える。
②すべてに基準が曖昧:業務や品質などの基準が曖昧、何が正しくて何が間違いかが不明確で、それを知る術はない。あるとしたら、社長かリーダーにあるが、その基準も統一されていないので個人に都合のよい基準で業務をまわす。自ずと生産性は低い。
③仕事の進行が見えない:そのため、個人商店化する。管理者も完全に作業者、プレーヤーと化し、管理者として機能していない。
お互いの仕事には関与しない、助け合わない、どこか殺伐とした雰囲気がある。業務の改善は、いつも場当たり的であり、もぐらたたき。問題は数年後に再発する。
④ローテーションできない:仕事の替わりがきかない、そのため、休めない&休みを言い出しにくい。同僚は数年で会社を去っていく、意欲のある社員から辞めていく。その分の仕事が残った社員に降りかかる。生産性が低下する。予想外の問題が発生する。
3.経営改善計画書がない
①自分たちの部門、自分が会社に何を期待されているのか、会社がこの先どうなっていくかは、解らない。聞いてもいけない雰囲気がある。
②与えられている仕事といまの給与を測る基準がない、将来の生活の安定を願ったとき、自分は何をすれば、どんな成果を上げれば給与が上がるのか分らない、この先も良くなるとは思えない。
4.社長が自分たちと一緒のレベルの仕事をしている。
①社長も技術者で、バリバリと案件をこなしているが、経営者としての仕事が何か分っていない、その学習もしていない。
②社長がいつも社内にいる。いるのに現場から改善情報や問題提起が社長に上がってこない。
③そんな姿から、会社が今後大きく好転する可能性を感じない。
その結果、当然業績は悪くなります。一時良くなっても、すぐに元に戻ります、少しも毎日の積み重ねで良くなっていく感じがしません。そして、こんな会社や社長に、誠実さを感じることはありません。
●社長の役割
収益を高めるためには、一人でも多くの人にそのサービスを提供することが必要です、または、今まで業界に無いぐらいの素晴らしいサービスを提供することができれば、それも同業他社よりも素早く成し遂げる力が社員に備われば経営は盤石なものとなります。
だから、社長はそれを実現するために社員に「厳しい要求」をすること、それこそが社長としての誠実さです。社長が要求するから、社員はそれに応えようと努力や創意工夫をするのです。自分の能力の向上や仕事への達成感が得られることは「社員満足度が高まる」ことにつながります。
そのために社長がどこを目指し、実現するためには何が課題なのか、その課題を解決するために、どのような行動を期待しているか全社員に周知する経営改善計画書(理想の経営を実現する道標)を策定することです。そして、定期的に計画の進捗をチェックすること、現場のリーダーに「あれどうなった?」と確認するのです。
経営改善計画書を策定する過程で、今まで見えなかった問題や可能性が顕在化してきます。必然的に社員に求めることが細かくなるのは当たり前なのです、そうしないと生き残れないのです、儲からないのです、でなければ、社員の給与も良くならないのです。
その社長の厳しさこそが、社長の誠実さなのです、その厳しさがあるからこそ、社員のやりがいと生きがいにつながり、顧客への素晴らしサービスとなり、高業績につながるのです。
だから、従業員満足度が高い会社は、業績が良い、とはこういうことです。
従業員満足度を高めるために取られる策の「福利厚生の増強」や「従業員同士の交流の機会を増やす」など、その多くは完全な見当違いなのです。
従業員満足度の基盤となり、もっとも大きなウエイトを占めるものが、「会社への信頼度」です。それは、社長が、やるべきことに手を付ければ自ずと形成されます。そして、それは目に見える成果となります。
社長が社長としての仕事に取り組む姿、その姿を見せることでしか、社員の信頼と貢献を勝ち取ることはできません。
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有限会社リーダーズ愛媛
代表取締役 竹田 富男(たけだ とみお)
HP:https://www.leaders-ehime.com/
Eメール:t2@world.odn.ne.jp
住所:愛媛県松山市清水町4丁目75-1
TEL:089-922-9423
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